バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

穴のむこうに見える景色をのぞいてみたい

先日、夕飯を汗だくで作っている最中にインターホンが鳴った。私は汗を拭いながら、玄関まで早足で歩いて戸を開けた。そこには宅配便のお兄さんが汗を垂らしながら立っていた。「時間指定のお届け物ですー」とお兄さんが明るく声を発したので、思わず「暑いから大変ですよね。ありがとうございます」と声をかけた。するとお兄さんが「いえいえ、室内でも熱中症になりますからお気をつけ下さい」とキリッとした顔で言って下さった。

ちょっとしたことだけど、なんだか嬉しかった。

 

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昨日、公園の草取りをした。こども達が通学する際に集まる公園のため、PTAが草取りをしているのだ。いつものように「おはようございますー」と誰に向かうでもなく声をかけ、しゃがんで草をとり始めた。しばらくするとあまり見かけないお母さんがやってきて同じように草をとり始めた。なんとなく気になってもう一度目を向けると、そのお母さんのお腹が少し膨らんでいることに気がついた。その方はしばらく草を抜いた後、ベンチに腰掛け休んでいたので、「大丈夫です?ここの地区はそこまで厳しくないので無理なさらないで下さいね」と声をかけた。

「あ、そうなんです?一年目なものですからとりあえず全部行っておかなくちゃかなって思って」

笑顔が素敵な方だった。PTAも一年目だと何もわからないため、自分から事情を話し、免除してもらうのが苦手な方もいる。そういう方をみるとついついお声がけをしてしまう。

 

私が娘を妊娠していた頃、地区の草取りがあった。あの時は妊娠9ヶ月でお腹もかなり膨らんでいた。当初、夫が草取りに参加する予定だったのだが、海外出張が長引いて帰国していなかったため、私はお腹をさすりながら草取りに参加したのである。その地区は今住んでいるところとは異なり、地区行事に参加しないとペナルティが発生すると言われていたからだ。

妊娠9ヶ月の私にはしゃがみこんで草をとるという作業はなかなか厳しかった。草を抜くにはお腹がジャマだったし、ちょっと力を入れると張ってくるし、もうどうしようもないなって思いながら、「早く時間よ、過ぎ去れ!」と思いながら、草を抜いていた。誰が見ても明らかにお腹の大きい状態だったので、私を見て遠くでこそこそ話しているような人はみかけたけれど、誰も声をかけてくれる人はいなかった。結局、最後まで、時間いっぱいまでやり遂げた。お茶を受け取って帰るときに、気の毒そうに役員の方が渡してくれたけれど、そんな目で見るくらいなら一言だけでも声をかけてほしかったなって思った。別に免除してもらおうなんて思っていないけれど「気にはかけているよ」ってことを伝えてほしかった。だって、もしかしたら容体が変わるかも知れないし、なにより心細いじゃないのって思ってたのだ。

だから、同じような人をみると必然的に声をかける。PTAだったら私も役員をしていたし、ある程度モノが言えるから辛かったら話してねと声をかけられる。

私ができることなんてちょっとしたことしかないけれど、それでもやらないよりは良いかなって思っている。

 

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発売したばかりのこどものとも012「たべたのだーれだ?」がとっても可愛かった。

乳児向け絵本のため、ボードブック(厚紙で出来た本)だから、簡単には破れないのが良い。赤ちゃんはすぐに破ったりなめたするもんなぁと懐かしく思いながら絵本を開いた。

お話は単純で、穴が開いているページがあり、向こうに見えるのはなーんだ?と考えて探してみる絵本だ。

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素敵だなって思ったのは、穴がただ丸く開いているのではなくて、色んな形になっていることだ。ねずみがかじったような形、芋虫がもぐもぐした形、鳥がつっついた形……。

 

穴の形が違えば向こう側の景色も変わる。

小さな穴の向こうには知らない世界がある。

そんな単純なことを拾いながら過ごしてみるのも悪くないなって思ったのだ。