夏休み最終日。
3日前にこども達がすべての宿題を終えたため、焦ることのない静かな夜を過ごしている。
一年のうちで9月1日が最もこどもの自殺が多いという。長い夏休みが明け、学校生活に戻るのはそう簡単なものではない。昨年、息子は9月1日は登校したものの2日に「学校へ行きたくない」と言った。自転車登校のため、自分の足でペダルをこがないかぎり学校にはたどりつけない。
しばらく様子を見て、私は車で登下校させる判断をした。車を降りても重い足取りでなかなか校舎へ進まなかったが、一緒に歩いたら少しずつ前へ進んでくれたのだった。
昨年のことがあるので、今年はどうだろうと思い、動作や表情をうかがっていたが今のところは大丈夫そうな気がした。あくまでも「今のところは」だ。夜が明け、朝がくると、気持ちはぐるぐる変わっていく。そんな朝を何度も見てきた。朝になったらまた顔をしっかりと見よう。そして「いってらっしゃい」と言って、送り出そうと思っている。
息子が今日、自分が通う中学校のホームページが更新されていたと話してくれた。
さきほど確認したら、トップページにこんな文章が書かれていた。
宿題が終わっていない?大丈夫です。
久々にみんなに会うのが緊張する?大丈夫です。
みんなと仲良く話せるか心配?大丈夫です。
1学期に欠席や遅刻が多かった?大丈夫です。
夏休みにちょっとやんちゃをしてしまった?大丈夫です。
まずは明日、みなさんの姿を先生たちに見せに来てください。
何か困ったことがあれば、遠慮せずに先生たちに相談してください。
明日、生徒のみなさんと会えるのを、先生たちは楽しみにしています。
こどもの心配をするのは親だけではない。
いくつもの目がこども達を見つめている。
夕方に聞いていたラジオで「夏休み最後の皆さんにおくります」とこの曲が流れた。
「生きててよかった」と思う一瞬なんて、この年になっても数えるほどしかないような気がする。だけど、ただ何も思わずに生きていられていることも「生きててよかった」に値するのだとしたら、きっと数えきれないだろう。