外出先から帰宅し、車を車庫に入れようと近づいたら、車庫の前にトラ模様のネコがいた。ネコは車がきたら避けることをすでに学んでおり、しゃっと動いてはくれたのだがネコが向かった先は車庫の中だった。私はバックで車庫に車を入れなければならず、ネコをひいてはしまわないか不安ではあったが、バックで車を動かすとライトはつくし、音も出るし、何より私の車にはバックモニターがついているので、確認しながら進めば間違いないであろうと判断した。
プープープー。
ゆっくり車を進めていく。バックモニターにしゃっと動いたネコが映った。
車を止めて、車庫から出るとネコはこちらをチラッと見てからどこかへ逃げていった。
数時間後また車で出かける用事があったため、車庫へ向かうと陽のあたる場所でトラネコが優雅にあくびをしていた。近づいたらひょこっと立ち上がり、走り去っていった。
あまりにもネコが我が物顔で家の庭や車庫をうろうろしているため、私が余所者のような気がすることがある。
ここって私の家で間違いないの?
不安が波のように寄せてきて消え去ることがない。
*
数日前のこと。小学生が登校する際に集まる公園で、なかなか登校しない男の子がいた。交通指導をしてくれているおじさんが話しかけたところ、どうやら子猫がみゃーみゃー鳴いていて、男の子は子猫から離れられずにいたようだった。
洗濯物を干している私の耳にもか細い声ではあるが、みゃーみゃーと子猫の声が聞こえてきた。
男の子はおじさんから「可愛いけど、飼えないのだったら優しくしすぎるとかわいそうだよ」と言われていた。その言葉の意味を男の子は理解しただろうか。
男の子は生垣の間をあちらから、こちらから、何度も何度も覗いては名残惜しそうにとぼとぼ学校へ向かっていった。
私はそんな男の子の動きから目を離すことができなかった。
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