バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

絵本『宮沢賢治の鳥』がとても面白かったのです

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宮沢賢治の鳥』を読んだ。

購入したのは数か月前で、ずっとブログに書こうと思いながら放置していたため、再読してからこの文章を書いている。

この本、絵本ではあるが、様々な要素を含んでおり、一般的に思いつく「絵本」のくくりとはちょっと違う気がしている。

本の内容はタイトル通り、宮沢賢治の童話や詩に登場する「鳥」に焦点を当てており、舘野さんが描く美しい鳥とともに、宮沢賢治の童話や詩の一節が添えらえている。また、国松さんの鳥と宮沢賢治に関する解説が書かれているのだが、これが非常に面白いのだ。

文を書かれている国松俊英さんは宮沢賢治学会の会員であり、日本野鳥の会の会員でもある。そう考えるとこの絵本は国松さんでなくては成り立たなかったのではなかろうかとも思えてくる。

書かれている中で私が面白いなと思ったのは、はちどりに関する部分である。宮沢賢治の本に登場する鳥は、カッコウ、フクロウ、カワセミなどほとんどがイーハトーヴで見られる鳥であり、外国産の鳥は活躍していないらしい。ところがなぜか日本に生息していないハチドリが登場するのだ。それはなぜなのか?国松さんは道すじを3通り考え、この答えに行きついている。

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もしも、ただの解説だったら私もそこまで食いつかなかったかも知れないが、答えに行きついた過程が書かれていることにより興味を持ち、楽しく読むことができた。

その他にも「鳥をとるやなぎ」に登場する「もず」は実は「もず」ではなく、「ムクドリ」であったこと、「よだかの星」の「よだか」を「ぶとしき」と書き直した理由なども書かれていた。

これは新たに得た知識とともに宮沢賢治の作品を読み直さねばいけないなと思った。

この絵本、表紙を見てもわかるように舘野鴻さんの鳥の絵がとにかく素晴らしい。舘野さんといえば美しく、緻密な絵を描く生物画家だが、今年、小学館児童出版文化賞に絵本「つちはんみょう」が選ばれていた。「つちはんみょう」はもただの絵本と言えない本で、こちらは舘野さんがあまり知られていなかったヒメツチハンミョウについて8年に及ぶ生態調査を行い、その一部を明らかにまでしたスゴイ絵本なのである。

 

といった感じにすごい二人が描いた絵本はやっぱりすごかった!という感想に行き着いた。期待して読み始めて、期待を裏切らなかった絵本とも言えよう。

じっくりと、時間をかけて読める絵本。

興味を持たれた方がいたらぜひ読んでみてもらいたい。

 

 

宮沢賢治の鳥

宮沢賢治の鳥

 

 

 

つちはんみょう

つちはんみょう