バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

手のひらサイズのきつねと出会う『まんまるきつね』を読みました

『まんまるきつね』という児童書を読みました。

 

まんまるきつね (ポプラの木かげ)

まんまるきつね (ポプラの木かげ)

 

 

主人公であるまゆちゃんは少し内気な5年生の女の子。

両親は1ヶ月前に離婚し、まゆちゃんはお母さんと一緒に暮らしています。
シングルマザーとなったお母さんは保育士のお仕事を始めたので、帰宅しても家に誰もおらず、寂しさを感じるまゆちゃん。
そんなまゆちゃんのところにある日、手のひらサイズの小さなキツネがやってくるのです…。
 
キツネとまゆちゃんが交わるファンタジー。
子どもの頃そんな事もあったよなぁと振り返ってはきゅぅんとなったり、ほわんとした気持ちになったりしました。きつねがくしゃみをするとお花が咲くのも良いなぁと思いました。
 
スドウピウさんの優しいイラストもお話ととても合っていて、可愛らしいです。
 
 
話の中で、まゆちゃんのお母さんが運動会にどうしても来られなくなってしまうという場面があります。もしも私がココを子どもの立場で読むならばひたすら寂しい思いが勝ると思うのですが、大人の立場で読むとお母さんの心情も手に取るようにわかるのでとても切なくなりました。
 
 
私が中学生の時、母は3年間で1度も授業参観に来られませんでした。卒業式も来てもらえませんでした。その時の母の立場を理解していたつもりだったので、表では「もう、中学生だからいいよー」とは言っていたものの、参観に来たお母さん方がチェックする名簿を見た時、自分の名前の欄に1つもチェックがないのは少々堪えました。
卒業式は母が来られない分、かえって毅然とした態度で涙も流さずに最後まで前を向いていました。
 
そんな母でしたが、体育祭の部活対抗リレーで、私が陸上部の子を抜いたことなどをどこからか聞いてきては「すごいね!」とほめてくれました。
自分の事を「気にかけていてくれる」とわかるだけで、私は随分と救われたように思います。
 
 
 
手のひらサイズのきつね。
私も出会ってみたいです。
満月の夜に切り株に座って願ってみようかな。
 
今までは満月になるまでを楽しみにしていたけれど、これからはその後の十六夜までしっかりと見届けたい気持ちになりました。