バンビのあくび

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『満月のさじかげん』を読んで〜思春期の不安を思い出しました

『満月のさじかげん』という児童書を読みました。

 

満月のさじかげん

満月のさじかげん

 

 

母親に先立たれて、お父さんと暮らす5年生の鳴(めい)ちゃんが主人公です。

誰でも経験のある小学校での生活と友達関係が軸になっているのですが、担任の妊娠や片腕のないおじさんとの関わりが素敵で、大人が読んでも何か気づけるんじゃないかなと思えるお話でした。
 
過剰歯が気になる鳴ちゃんと右腕がなく装飾義手をはめている赤羽さんとの交流は、多くても少なくても不安になり、心を乱しまくる私自身にグイッと入り込んできたように思います。
 
心と身体はいつも過剰と欠損の狭間にある。
 
そんな気持ちを少し欠けている満月ととらえてるのも良かったです。
 
担任の先生のお腹に赤ちゃんがいることを、どうしても好意的に思えない鳴の友達、実咲ちゃんの気持ちは忘れかけていた思い出を引っ張りだしてくれた気がします。
第二次性徴期の女の子が初潮を経験し、自分の体の変化に戸惑う中、目の前で日に日に大きくなるお腹を見て嫌悪する気持ち。あの頃でしか手にすることのない不安。
 
私が小学校の高学年の時、縄跳びの授業がありました。
縄跳びでどんな跳び方があるかを皆の前で実際に跳んで紹介したのですが、私が紹介した後、何やら先生方が後ろの方でごにょごにょ話をしていること気がつきました。
そして、その日。先生は女の子を集めて、必要である人はブラジャーを着用するようにという話をしたのです。
私は背が高い方でしたので、自分でも少し胸が膨らんできていることに気づいていました。けれど、その話をするきっかけが私であったことは恥ずかしさと悲しさしかありませんでした。
いつまでも子どものままでいられないこと。この先、自分の身体がどうなってしまうのだろうという不安。性を意識することは私を重い、苦しい気分にさせました。
 
それがいつ解消されたのかはわかりません。
みんなが心も身体も成長し、恥ずかしい事ではなく、生命の根源だと認識していくうちに、受け入れられるようになったのだとは思います。
 
今は、2回の出産も経験していますので、それがどれだけ尊いことかは身を持って知りました。
 
 
『満月のさじかげん』は私自身が大人になる不安を抱えた頃から現在までを考えさせてくれました。
思春期を迎える頃の子が対象の本かも知れませんが、大人の方におすすめしたいです。
 
 
***
 
この『満月のさじかげん』は昨日書いた『まんまるきつね』と一緒に図書館から借りてきました。
『まんまるきつね』のまゆちゃんは、両親が離婚して母子家庭でしたが、こちら『まんげつのさじかげん』の鳴(めい)ちゃんは、お母さんに先立たれて父子家庭でした。
 
何にも下調べせず、なんとなく手に取った児童書2冊が、それぞれ1人親家庭だったのには、少々驚きましたが、それもまた本との縁だったのかも知れません。
 
 
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