私が幼稚園に通っていた頃、佐々木マキさんの『やっぱりおおかみ』と出会った。先生が読んでくれたのを聞いた時、「なんて不思議な絵本だろう」と思った。それまで読んでいた絵本は楽しかったり、悲しかったり、面白かったりと「私の中のどの感情に分類されるか?」が明確なものばかりだったのだが、『やっぱりおおかみ』はどの感情にも上手く分類することが出来なかった。
ひとりぽっちのおおかみは仲間を探して色んな場所を巡る。うさぎの群れ、ぶたの群れ、しかの群れ…みんな仲間がいて羨ましい思うけれど、自分と同じようなおおかみはどこにもいなかった。
孤独と寂しさを感じながらおおかみが行き着いた答え。それは「おれは おおかみだから おおかみとして生きるんだ」ということ。
そうおもうと なんだかふしぎな ゆかいな きもちに なってきました。
そう書かれた最後のページがわかるようなわからないような気がして、何度も何度も読んだ。
仲間がいないのに、ゆかいなきもちになれるのかな?
孤独と寂しさを持ったままでゆかいって言えるのかな?
幼い私には理解出来なかったことも、年齢を重ね、様々な人と関わるうちに少しずつ理解出来るようになった。
群れをなしていても幸せとは限らないし、孤独が必ずしも不幸せであることもない。
自分を信じて進んでいくことは幸せなことであり「ゆかいなきもち」になれるのではないか。
その答えは自分の中だけにあって人の意見で左右されるものではない。
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村上春樹の短編集「神の子どもたちはみな踊る」の中に『かえるくん、東京を救う』と言う話がある。
ストーリーはググってくれれば、ぱんぱかぱーんと出ると思うので、そちらでお願いしたいのだけど、私はけっこう好きな話で面白いと思っている。
この『かえるくん、東京を救う』の漫画が現在発売されている『MONKEY vol.4』の中に載っているのだけど、これもまたなかなか良いなと思って読んだ。
目に見えるものが本当のものとは限らない
その言葉の意味も『やっぱりおおかみ』のように少しずつわかってくるのだろうか?
知りたいと思う一方で、知りたくないと思う自分もいる。
なぜなら、ずっとずっと彷徨っている方が答えに近づける気がどこかでするのだ。
MONKEY Vol.4 ◆ ジャック・ロンドン 新たに(柴田元幸責任編集)
- 作者: 柴田元幸
- 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング
- 発売日: 2014/10/15
- メディア: 雑誌
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