ヨシタケシンスケさんの『ふまんがあります』を読みました。
むすっとした可愛らしい女の子が表紙の『ふまんがあります』は『りゆうがあります』の続編のような位置づけだと思われます。
『りゆうがあります』は男の子のクセを指摘するお母さんに対して「だってね、これはね、こんな理由があるんだよ」とユーモアたっぷりに男の子が言い返すお話でしたが、今回の『ふまんがあります』は女の子がお父さんに対し「大人ってずるいわよねっ!」と日常思っていることを次々に質問していくストーリーになっています。
寝そべってくつろいでいるお父さんの所へ、怖い顔して乗り込む女の子。
さて、お父さんはどうやって乗り切るのでしょうか?
どうして おとなは よるおそくまでおきているのに、
こどもだけ はやく ねなくちゃいけないの?
この質問はこどもの頃に何度も思いましたよね。
私は兄と寝たふりをしたのち、布団にもぐってあらかじめ用意しておいた懐中電灯を照らしながらマンガを読んでいた記憶があります。今、考えるとそこまでしてマンガを読みたいかね?と思いますが、当時はいけないことをしてるんだもん!というスリルが楽しかったのではないかと思います。
女の子の質問にお父さんはとても夢のある回答をしていましたよ。ウソくさいってわかりそうな回答だけれど、憎めないなぁという感じでした。
この一場面がけっこう好きです。髪の毛を気にしだしたお父さんを気にする女の子。
さりげない場面が本編ラストで生きてきますよ☆
『りゆうがあります』と『ふまんがあります』は比較すると面白いように感じました。
こどもが言い訳をする『りゆうがあります』
おとなが言い訳をする『ふまんがあります』
いずれも「ああ、いつもそんなことしちゃうよね」という事柄に対し、面白可笑しい言い訳をして、なんとかごまかしちゃおう!という雰囲気が出ています。
絵本としてはとても面白いのですが、実際、これで乗り切れるかどうかは相手の性格やその時の状況によっても違ってくるような気がします。
それから、作者のヨシタケシンスケさんが意識して書かれているかはわかりませんが、どちらの作品も女性から男性へ質問を向ける形なのが気になりました。お母さんは息子へ。娘はお父さんへ。なんでなのかしら?男性の方が夢のある回答をする可能性が高いとか?
いや、あんまり意味はないのかも知れませんね。
どちらもラストは女性陣が言い訳してるので。
そうそう、こんな虫の比較も面白かったです。
こちらは『りゆうがあります』に出てきたダッシュ虫。体長2mm。
こちらは『ふまんがあります』に出てくるイライラ虫。体長2mm。
体長は2mmと同じですが、微妙に違っていますよね。
それぞれの本のどの場面で登場するのか見比べてみて下さいね。
なんだかんだ言いつつ、女の子とお父さんがとても仲良しで見ていて微笑ましいです。
日常の中に笑いを入れることは心に余裕がないとなかなか出来ないことなのではないでしょうか。
子どもも大人もそれぞれの立場で理由や不満がありますが、最終的にみんなで笑えたらそんな良いことないよなぁ!と今回あらためて感じました。
面白くて、優しくて、温かい絵本だと思いますので、ぜひ読んでみて下さいね。
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おもしろエピソードがある方は応募したら良いと思いますー。