バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

音楽を聴いたという記憶

先日のミュージックステーションゲスの極み乙女。サカナクションザ・クロマニヨンズが出演するとCMで見かけたので録画して後からゆっくり観た。私がみたそのCMは今回の出演者として一番最初にジャニーズのグループ名を挙げ、次に乃木坂46、その次がゲスの極み乙女。と続いたのち、「その他の皆さんです!」と残りの出演者の名を映して終わったので私は「んぐぐぐっ!」となってしまった。サカナクションクロマニヨンズも名を読み上げられないのに、ゲスの極み乙女。は名を呼ばれるんだ・・と思ってしまったのである。やはり、その辺は現在、注目だとか人気があるってのが背景にあるからそうなるのだろうってわかっちゃいるけど、やっぱり「んぐぐぐっ!」ってなっちゃうわよ。断わっておくと、私はゲスの極み乙女。が嫌いではなく、むしろ好きなのだけれど、サカナクションクロマニヨンズを置いとくなよ、しかし!とは思うのだ。

けど、どのバンドも好きよ、ほんとに。

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ゲスの極み乙女。のボーカルである川谷絵音さんが別のバンドのボーカルでもあるということをみなさんご存知かご存知じゃないのか知らないけれど、私は川谷さんがやっているもう1つのバンド「indigo la End」の方がゲスの極み乙女。よりも好きである。以前、川谷さんが2つのバンドについて聞かれた際、「ゲスが『陽』だとしたら、indigoは『陰』なんですよ」と言っていったが、きっと私は明るいよりも暗い方が好きなのだと思う。どっぷり暗いのではなく、漂う儚さとか切なさ、胸をつかまれるような苦しさの中に一筋だけ射している光に惹かれるのだと思う。それがindigo la Endからは感じられたのだ。

川谷さんが半分お遊びで始めたゲスの極み乙女。の曲を最初に聴いたとき、間違いなくindigo la Endよりは売れると思った。聴いていて楽しいし、耳にも残る。メンバー構成も面白いし、ああ、なるほどって思った。私は音楽が好きだけれど細かいことはわからないので漠然とした印象でしか表現できないが、確かにそう思ったのだ。それでもやっぱり私がindigo la Endの方が好きなのは変わらない。

私はラジオから川谷さんの歌声が流れてくると、瞬時にゲスの極み乙女。indigo la Endか判別することができた。こども達が「また当たった!」というくらい精度が高かったのに、こないだ流れてきた川谷さんの声と音を私は判別することが出来なかった。もう少し長く聴いてみれば楽器も違うからわかるけれど、以前はもっと遠かった2バンドの雰囲気がどこか交わり始めたのではないかと感じたのだ。だが、もしそうでないとしたら、私の耳がだんだん狂ってきているのかも知れない。

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こどもが産まれる前はたくさんのライブへ足を運んでいたが、それ以後はほとんどライブへは行っていない。けれど、ラジオから流れてきた曲を聴いただけで「あっ!これはライブで観たい。生で音を聞きたい」と即、チケットを取りに行ったバンドが2つだけある。

1つは先ほど挙げたindigo la Endでもう1つはサカナクションである。どちらも急に思い立ってチケットを取ったものだから、ワンマンライブではなく3マンだった。

indigo la Endを観に行ったときは対バンがキドリキドリ(現:Kidori Kidori)とGOOD ON THE REELだった。受付でチケットを渡した際、お兄さんが「どのバンドを観に来ましたか?」と尋ねてきたため、私はもちろんindigo la Endだと答えたが、他の人の回答をこっそり聞いていたらGOOD ON THE REELが一番多くて、なんだかアウェー気分になってしまった。実際、ホール内の年齢層はだいぶ若かった。私より明らかに年齢が上だと思われる男性はキドリキドリを観に来たようで妙に納得してしまった。私はキドリキドリのベース、ンヌゥさんを観たいとも思っていたのでキドリキドリが対バンだったのはラッキーだった。ンヌゥさんのベース、本当にすごいなって思ったし、あそこで観れて良かったと今でも思っている(Kidori Kidori、ンヌゥさん脱退後、イケメンベーシストが加入したらしいですね。それはそれでみたい気もする・・イケメン・・)

indogo la Endは私が期待していた通りの音を聴かせてくれた。ラストが「素晴らしい世界」だったのだが、最後に川谷さんのアカペラで終わるのが何とも言えない余韻があって動けなくなってしまった。誰もいなくなった空っぽのステージを眺めて私はしばらく立ちつくしまったのだ。

そういえば、川谷さんがMCで「身長が177cmあるんだけど体重が50kgを切りまして・・・」という話をしたら、女の子達がドン引きしていて笑ったのを思い出した。今は知名度も上がったからそこまでドン引きされないかも知れないけれど、あの時の空気は個人的に嫌いじゃなかった。キャーキャー言われすぎてしまうと、時々、言葉が見えなくなってしまうと思うのだ。

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さて。冒頭のミュージックステーションの話に戻るが、そんなわけで私はゲスの極み乙女。が好きだし(本当はindigo la Endの方が好きだけど)、サカナクションも好きだし、ザ・クロマニヨンズ(というかヒロトマーシーが正しいのかも知れない)も好きである。

あ、あ、っていうか、私はここまでヒロトにまったく触れていなかったことに今更気づいたので最後に触れておきますと、昔々の6月9日、通称「ロックの日」にハイロウズのライブへ行き、楽しみすぎて(暴れすぎて)財布を落とした経験があったりするのだ。

私が今まで生きてきて財布を落としたのはこの時だけ。

どう考えてもやりすぎた。

けれど、6月9日に良いライブをみて財布を落とすってなかなかできないだろうから、そこも含めて楽しかったなって今は思えるのだ。

 

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津村記久子さんの「ミュージック・ブレス・ユー!!」の中で次のような文がある。

音楽がそこにあるとはどういうことだろうと考えた。背後でドアが閉まる音を聞きながら、アザミは、今はヘッドホンをかぶっていないし、何も持っていないし、これからもそうだけど、自分はひょっとしたら、音楽を聴いたという記憶だけで生きていけるのではないかと思った。

  

私も音楽を聴いたという記憶で生きていけそうな気がしている。

それから、そこに本もあれば、私はなおさらまっすぐ生きていけそうな気がしているのだ。

 

 

ミュージック・ブレス・ユー!! (角川文庫)

ミュージック・ブレス・ユー!! (角川文庫)