いやぁ、とっても面白かったです!
読み終えて、これは薦めたい!ぜひ読んでもらいたい!と思うほどでした。
コリドラス・テイルズの作者である斉藤洋さんといえばみなさんご存じ『ルドルフとイッパイアッテナ』の作者です。それから所々にある挿絵をヨシタケシンスケさんが担当されています。ヨシタケさんと言えば『りんごかもしれない』が代表作ですね。
そんなお二人の本ですから、読む前から期待大だったわけですけど、私の期待以上の面白さでした。
作家の「私」と、ナマズの「コリドラス」の奇妙でゆかいな共同生活。
コリドラスが語る荒唐無稽な身の上話と、私が連載する掌編小説が交互に登場し、二倍楽しい連作ショートショート集!
『コリドラス・テイルズ』はいくつものショートショートで構成されており、ブラックユーモアがピリッときいていて読み始めてすぐにおおっ!と引き込まれていきました。途中、「コリドラス・パレアトゥス(通称は青コリらしいです)」というナマズと作者である「私」の軽快なやり取りも入ってくるのですがこれも面白い。コリドラスの生意気な感じが良いのよ。ムカつくけど可愛いのよ。
主な登場人物は「私」と「コリドラス・パレアトゥス」ですが、他に「アナバス・テストゥディネウス」「プテロプフュリウム・スカラレ」「シュムプヒュンドン・アエクイファスシアトゥス」なんかも出てきます。熱帯魚好きじゃなければ何のことやらわかりませんが、順に「キノボリウオ」「エンゼルフィッシュ」「ディスカス」のことです。正式名称で書いてる辺りが何とも言えない味わいがあります。
ショートショートはどれもこれも面白いのですが、私が気に入ったのは、「家庭の問題」と「夢の発明」と「地獄の活用」って話です。
「家庭の事情」は将来的に結婚して子供を作るという習慣は、へんぴな植民星にすら残ってないっていう話なのですが、ええっ!と思いつつも合理性を主として考えたら無きにしも非ずかなと考えてしまいました。
「夢の発明」は一年中同じ温度を保てる新型熱転換装置が開発される話です。これを何のために開発したのかという思惑がわかると、やられた感でいっぱいになってしまいました。そうか。敵もやるな!って思わず膝を叩いちゃいます。
「地獄の活用」は思考としてはそういうのあるよなーって話。着眼点を変えると成功します。
***
『コリドラス・テイルズ』は児童書のくくり(内容を考えたらヤングアダルトなのかも)で置かれているところが多いようなのですが、これは大人が読んでも間違いなく面白いし、むしろ大人の方が楽しめるかも知れないと感じました。
ショートショートなので、ちょいちょい読みも出来るため、暑くて読書が出来ないよって方でも手を出せるお手軽さ。
まあ、とりあえず手にとって読んでみて下さいな。
クスッと笑って過ごせますから☆
今週のお題「読書の夏」