10月は輝く月の美しさに酔いしれた後、ひっそりと訪れた。
秋のもの悲しさは良いよねって話をしていて、結局、人はひとりぼっちだよなって思った。家族がいても友達がいても私は私の中にいる「何人かのわたし」と話をしていることが多い。突っ走る私と軌道修正するワタシと「なんにもやる気がなーい」ばかり言っているわたし。もっともっとたくさんいるけれど、何かあるたび、どこからか集まってきて会議を始める。あーでもない、こーでもない。そんで時々、会議中の言葉が口から思わず漏れてしまう。
「もう、いやだっ!」
会議中の言葉だけれど、周りの人には独り言だと思われている。いやいや、会議中なんだってば。机をばーん!と叩いて発した言葉なんだってば。
言い訳をしたいけれど、やっぱりなんとなく恥ずかしいので何事もなかったふうを装う。
心が乱れて、行方がわからないときはとりあえず眠る。何もかもをほっぽり出して毛布かぶって眠る。眠れなくても、時計のカチコチが聞こえても目をぎゅっと瞑る。
それでもどうにもならないときは、絵本をぱらぱら開いてかわいい絵を眺め、気持ちがよくなる音楽を聴いてチョコレートをひとつつまむ。それから窓をあけてひんやりとした夜の空気を吸う。
静かな夜。
車の音が響く夜。
夜のにおいが鼻をぬけ、やっぱり夜なんだと体が再認識する。
あかりの少ないこの街の夜はしっかりと眠りについている。
uminecosounds / まちのあかり - YouTube
朝がくるまで 眠らない 夜の東京