ブログにも度々書いているけれど、津市久居の『ひびうた』で開催される「本の会」や「音楽の会」によく顔を出している。
私の自宅から『ひびうた』まで、車で1時間弱かかる(空いているときは40分ぐらいでい行けたりする)のだが、時々「遠くないですか?行くの大変じゃないですか?」と聞かれることがある。つい、こないだもその質問をされ「いやぁ、そうでもないですよ。でへでへ」とへらへらしながら答えたが、本当の答えは「行きは遠い。けれど、帰りは貴重な時間なんです」だったりする。
それらの会に参加すると、帰りはたいてい夜。私は夜に車を運転するのが大好きなのだ。
夜に車を運転するとき、その前の楽しかった時間を思い出しながら、徐々に日々の生活へ戻ることを考えている。
夜に車を運転するとき、抑えきれない苛立ちを大声で歌うことに変換する。
夜に車を運転するとき、灯りの動きだけを感じる車窓を眺めながら静けさを味方にし、自分と向きあう。
夜に車を運転するとき、わが身に降りかかったことや不安を思いながら、我慢せずに涙を流している。
私だけの空間は私だけのものであり、誰かを困らせることも心配されることもない。
昼は雑念が多く、心が無になることは難しいけれど、夜に車を運転するときほど清らかに正直になれる時間はないんじゃないかと思っている。
夜に車を運転するとき、時々、感情の制御がきかなくなる。そのときは近くのコンビニなどの駐車場で気持ちがおさまるのを待つ。
闇に不釣り合いに感じる、白く浮いてくるようなコンビニの明るさに思わず笑う。
感情が波を打っていると思う。それは脈が打つのよりはゆっくりで、あの日、あの人が月を見ながら話す速度と似ていると思った。
夜に車を運転するのは好きだけど、夜道を誰かと歩くのも好きだ。
言葉のひとつひとつが雑音に消されることなく、輪郭がはっきりと伝わってくる感じがたまらない。
あのとき、言葉には輪郭があるとはっきり思ったことを私は忘れることがない。