バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

京都へ行った日記。ふたたび。

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京都へ行った。

娘が京大で講習を受けるとのことだったので、そのあいだ京都の町をぶらぶらしたのだ。

京大へ娘を送ってから古書善行堂へ向かった。京大から善行堂までのゆるやかな坂は、秋の香りと学生街の香りが混ざり合い、どこか郷愁を感じた。

やや汗ばみながら善行堂にたどり着き、静かにドアを開けた。「こんにちは」店内へ足を踏み入れる。心地よい音楽が流れ、そのほかの雑音はひとつも聞こえてこなかった。文庫本の棚を端からゆっくりと眺めた。時折、手に取りぱらぱらとページをめくり、私を呼んでいる本を探した。そのあと、新刊、音楽、単行本、詩歌と巡り、出会う本のひとつひとつを楽しんだ。私が楽しんでいるあいだに他のお客がやってきた。狭い通路を「すみません」と声をかけながらすれ違うのがなんだか新鮮だった。「すみません」の一言でも知らない誰かと関わった事実が疲れた私には心地よかった。店内をざっくりと1周してから、欲しいと思った本を各棚から、スパッスパッと手に取った。(このときの私の動きの切れ味を誰かにお見せしたいくらいだ)

お会計をすませると、善行さんが青年が持ち込まれたフリーペーパーを渡してくれた。三重から来たことなど少しだけ話をし、店を出た。

坂を下った。

途中で気にある雑貨屋さんがあったので吸い込まれるように入っていった。美しいかたちのスプーンやちょっと高級なチョコレートを眺めた先に、50%OFFになっていた六角形のピアスがあったので購入した。ついでにレジ横にあったビッグイシューを購入。表紙が奈良美智で目立っていたのだ。「今日は観光ですか?」などと店員に話しかけられた。まだ昼食を取っていないと話したら、近くにあるカフェを勧められた。それもいいなあと思ったが、そのカフェに行くにはまた坂を上らなければならなかったので、またの機会に行くことにした。

出町柳の駅が近づいてくると、忘れかけていた学生の頃の私を思い出した。何をするでもなく歩くのが楽しかった。

叡山電車に乗り、一乗寺へ向かった。一乗寺駅を出てすぐのところにパン屋さんがあった。荷物になるとは思いつつも、パンの誘惑には勝てず、気が付いたらトングとトレーを持っていた。ベーコンエピとエンゼルナッツとマフィンを購入した。

次は恵文社一乗寺店へ。クリスマス仕様になったお店には多くの人が溢れていた。見たことがない本を見つけては手に取ることを繰り返していると、だいぶ時が過ぎていた。楽しかったけれど、人が多すぎてやや疲れてしまった。

次はマヤルカ古書店へ。ドアを開けると男性の話声が聞こえてきた。常連さんとでも話してるのかなと思いながら、私は棚に目を向けた。本に夢中になっていたため、最初は気がつかなかったが、会話が盛り上がっているというより、男性がひとりで話続け、女性店主は相槌のみを繰り返していた。この男性がどんな人であるか、私には知る由もないが、なんとなく、この男性が帰るまで店内に居座ろうと思った。声が聞こえる方を気にしつつ、本を眺めた。しばらくするとひとり、またひとりとお客が増えていた。すると男性はやっと話を切り上げて帰っていった。

マヤルカ古書店は私が欲しくなる本が多くて困った。韓国文学に始まり、読みたかった海外文学の本もあって嬉しくなった。ここでも本を購入し、バッグがさらに重たくなった。「バッグの重みは私の喜び」そう思うことで気を紛らせようとしたが、やはり身体的にはきつかったので近くの喫茶店で休憩することにした。

なんのリサーチもせずにふらっと寄ったその喫茶店アイリッシュ音楽が流れる素敵なお店だった。珈琲とピザトーストを注文した。待っているあいだ壁に貼ってあったアイリッシュ音楽セッションのチラシを眺めた。初心者でも一緒に楽しくやりましょうとあり、近くに住んでいたらやりたかったなと思った。山歩きの本や苔の本が並んでいるのも良かった。珈琲がとても美味しく、ピザトーストは素朴で美味しかった。緑茶などを注文すると和菓子がついてくるらしいので次はお茶にしようかなと思ったりした。常連さんが多いようでマスターが気さくに話をしていた。珈琲が美味しかったので豆を購入した。私が飲んだ珈琲はそのときマスターがブレンドしてくれたものらしかったので、おすすめして頂いた豆にした。

叡山電車に乗り、出町柳に戻った。娘には駅で待っていると伝えていたが、娘は極度の方向音痴のため、京大の中で校舎を移動したらいまいち場所がわからなくなったらしく、仕方なく京大へ向かった。バスでも良いのかも知れないが、歩きの目線だからわかる街並みがある。歩いているひとの声や音がその場所を作っている。娘を連れて駅へ向かう。場所も生きものであることを考えつつ、電車に飛び乗った。