バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

湯気の向こう側に

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小学生の時から仲の良い4人の友達がいる。

ジャニーズ好きなミーハーだけど、自分を律することの出来るしっかり者のA型なエイ子ちゃん。本が好きだけど、親がマンガを買うことを許さなかったため、友達の家に行ってはいつもマンガを読み漁っていたB型のビイ子ちゃん。とってもおっとりしていて温和なため、誰からも好かれるが実は1番思い切りの良いO型のオオ子ちゃん。絵がとても上手で芸術的センスが長けているものの、どこか風変わりでつかみどころのないAB型のエビ子ちゃん。

それと、運動が得意なだけで特に取り柄のないアホな私。(一応、A型)

私達は仲が良かったけれど、ベッタリと引っ付いている訳ではなく適度な距離感で過ごしていた。

小学生の時はみんなで交換日記をやったりした。恋愛話が書いてあるような可愛い交換日記をやろうとしたのだが、なぜか「どれだけ笑いを取れるか?」みたいな交換日記となり、最終的には4コママンガ交換日記になってしまっていた。

中学生の時は、ビイ子ちゃんが書いた小説を読んで感想を言い合ったり(だんだんBLみたいな内容になってきたため誰にも見せられない代物だった)、エイ子ちゃんが描いたジャニーズマンガを読んだりしていた。(その頃、エイ子ちゃんは漫画家になりたがっていた)

私が大好きなその4人は私より賢く、私より字が上手で、私より絵も上手だった。

中学3年になり、志望校を決める時、私以外の4人は私が志望したM高校より、もう少し賢いK高を志望していた。まあ、そうなるだろうなと予想はしていたので特に驚きもしなかった。4人は誰一人として私に「同じ高校へ行こうよ」と言わなかった。そして私もそのようなことは口にしなかった。

その時に「ああ、私はこの4人が好きだな」と思った。

あの時「もう少し頑張れば一緒にK高校へ行けるよ」と言われていたら、なんだか苦い気分になっていたかも知れない。実際、頑張れば届くかも知れないぐらいではあった。けれど私は本当に行きたくてM高校を志望していたので、それを口にされると息苦しくなっていただろう。4人はそれをわかっていて「志望した高校に受かるように頑張ろうね」と言ってくれた。

結局、全員が志望校に合格し、4人はK高校へ、私はM高校へ進学した。

元々、付かず離れずの私達であったので、会わない期間がどれだけあいても何の問題もなかった。そして高校を卒業し、大学へ進学したのだった。

20歳を過ぎた頃から、近所にある和食レストランに自転車で乗りつけ、いわしのつみれ鍋を食べながら、お酒を飲み、あーだこーだとどうでも良い話に花を咲かせていた。本を読んでいてわからない言葉があったらビイ子ちゃんに教えてもらい、最近観た展覧会が良かったという話をエビ子ちゃんから聞き、最新の芸能情報をエイ子ちゃんから仕入れる。それを微笑んで聞いているオオ子ちゃんを眺めつつ「こういうのが楽しいなぁ」と思っている私がいる。

鍋から立ち上る湯気の向こう側に笑っている友達がいる。

気取ったことも変わったこともしていないけれど、その時間はとても温かかった。

 

 

ずっと忘れていたそんなことを、おでんの鍋からしゅるりしゅるりと立ち上る湯気を眺めていた時に急に思い出したんだ。

 

 


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