発売されたばかりのMOE4月号を読んだ。
表紙に大きく「ヨシタケシンスケってすごいの?」なんて書かれたら、気になって気になって手に取らずにはいられなかったのだ。
ヨシタケシンスケさんは今や大人気の絵本作家である。
デビューして4年。デビュー作である『りんごかもしれない』が店頭に並んでいた時に私ははじめてヨシタケさんの絵本を読んだ。
「あれ?これは…なんだ?」
不思議な絵本だと思った。と、同時に「こういうこと考えたことあったな」「あ、そういう見方もあるんだ」などしばらく考えつつ、楽しんでいる自分がいた。
ヨシタケさん自身、「これは最初で最後の絵本だと思ったので、自分が面白いと思った絵本の要素を全部つめこんだ」と記事に書かれている。デビュー作にして代表作なんて単純に「すごい!!」と思ってしまった。
ヨシタケさんは長いこと隠れながら落書きのように絵を描いていたらしく、大きい絵が描けないらしい。絵本として出版するにあたり、ヨシタケさんは描いた絵を拡大しているのだとか。さらに、色付けが得意ではなく、色付けはデザイナーさんにお任せしているようだ。自らの弱点を明確にし、隠そうとするのではなく堂々とする。
「餅は餅屋に任せておけばいい」
おどおどしているようで、人に任せるのもひとつの技術なんじゃないかと思ったりする。「抽象画が描けなければ、違った視点でカタチにする」のも発想が豊かじゃないとなかなかひねり出せない気がした。
発想力の乏しい私は、こういうのに憧れてしまう。
この記事は糸井さんとの対談の他に、ヨシタケさん自身がヨシタケさんを解剖していてそれが本当に面白い。
ヨシタケシンスケのしくみでは、体が図解されており、「明日やろうボックス」や「したごころタンク」などが内蔵されていることがわかる。「したごころタンク」のすぐ下に「したごころ浄化装置」もついているだが、故障中と書かれていた。このユーモアセンスにいちいちにやりとしてしまう。
「ヨシタケシンスケよくある質問」「ヨシタケシンスケのできるまで」の同じようににやにやしながら読み進めていた。
次のページをめくると「ヨシタケシンスケの一日」が載っていて、これが良くて良くて和んでしまった。
宙を見つめているカットが良いの!
ぜひこれだけでも見てほしい。みんなに読んでもらいたいと思った。
MOE4月号は内容も盛りだくさんなのに、実は付録もついている。
『つまんない つまんない』
ヨシタケさんの描くこども達ってどうしてこうも「こどもらしい」のだろうかと笑いなら読んだ。
「つまんない」
こどもの口から聞いたことはあるだろうか。
どこにも連れて行ってもらえなくて退屈でも「つまんない」
学校でイやなことがあっても「つまんない」
こども生活には多くの「つまんない」が存在している。もちろん、大人の生活も「つまんない」がたくさんたくさんある。
どうやったら、「つまんない」から脱せるか考えるも、答えには結びつかず、笑って終わる。押しつけがましくないので、こちらも一緒に「つまらなくなるには?」を考えていて、その事実にまた笑ってしまう。
「ひとりでにやにや笑ってしまってはヨシタケさんの思うつぼじゃないか!」と思うけど、私はやっぱり笑ってしまのだ。
こちらの「つまんない つまんない」は加筆されて、5月発売予定らしいので、そちらも期待したい。
***
MOE4月号はヨシタケさんの特集だけでなく、映画「3月のライオン」に主演する神木くんとひな役の清原さんのインタビューも載っている。さらに3月のライオンを観た杉浦さやかさんのイラストエッセイがあり、ほのぼの可愛らしくてあたたかくなった。
他にも「やさいのがっこう」を描かれているなかやみわさんのインタビューや、石黒亜矢子さんの猫かるたなど内容が盛りだくさんでどのページも面白かった。
今月号は本当にすごい。ちょっと、読んで読んで!

MOE (モエ) 2017年4月号【特集:ヨシタケシンスケ ふろく:ヨシタケシンスケ新作絵本「つまんない つまんない」】
- 作者: ヨシタケシンスケ,糸井重里,なかやみわ,なかしましほ,ヒグチユウコ,石黒亜矢子,みやこしあきこ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2017/03/03
- メディア: 雑誌
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関連記事:
ヨシタケさんがイラストを描いている児童書ですが、面白かったので。
ヨシタケさん、ひこ・田中さんコンビも面白いのです。
それから。
「りんごかもしれない」関連記事はゆきまろさんのが一番面白いと思います!
「みかんかもしれない」素敵☆