いつもより30分くらい遅く退社したら、外はもう真っ暗だった。外灯のない道を心細くなりながら駐車場まで歩いた。
できるだけ端を歩く。
車が来たときに気づかれなくても轢かれないように。できるだけ端へ。
端を歩きすぎて時々よろけながら車にたどり着いた。
夜は冷え込むこうになってきたので、車に乗るとひざ掛けをかける。はりねずみ柄の赤いひざ掛けを触るとやわらかくて少しほっとする。
夕方に部屋の窓から見える景色が好きで、何も考えずに眺めている。カーテン越しに見える雲の動きが面白く、カラメルになる前の飴のような色が気に入っている。
秋の空の色。
赤い葉っぱをかざしたらもっと楽しくなりそうだ。
ある日の夜に張り切ってごはんを作ったため、翌日のおひるごはんがいい感じになった。
料理は手際と段取りを考えながら動いているため、楽しいけれど頭はフル回転のことが多い。その点、お菓子作りは計量はしっかりするけれど、わりとのんびりやっている。
どちらもそれぞれに良さがある。
いちばん良いのは余計なことを考える時間を私に与えないこと。
おそらく私はそんなに暗くなくて、良く話すひとに見えているのだろうと思う。
でも、ずっと心は痛くてどうしたものかと思っている。笑っているのに笑っていなくて、何処かに落としてきた自分の心を探しているような気がしている。
自分がどんな人間なのかわからなくなっている。ただ、できるだけ人を傷つけないでいられるといいなって思ってる。
明日には良いことあるかなって希望を抱くけど、希望を持つこともちょっと疲れちゃったな。
なんとなく過ごしているのが良いときなのかも。
頑張れないときは頑張らない。
笑うことで心が痛くなるときは笑わなくてもいいでしょう?
ねぇ?