仕事を納めた翌日に車で帰省した。
高速に乗ったあたりから、車が多いように感じたが、サービスエリアで人の多さを目の当たりにした。交通情報で玉突き事故や車両故障の場所を確認し、それらに伴う渋滞をできるだけ回避しようとしたけれど、思うようにはならず、久しぶりにとろとろ運転を強いられた。車がゆっくり進むため、隣車線を走っている人の顔が見える。サングラスをかけたお兄さん、子どもを乗せたお父さん、高速道路を運転している人は男性が圧倒的に多い。私が女性だからといって煽られたことはないけれど、なんとなく居心地が悪いなと思った。
実家で私は申し訳ないくらい動かない。ただし、何もかもしてもらうつもりもないので、夕ごはんは外食するか自分で調達してくる。その方が母の負担も減るし、お互い割りきれてちょうどいい。頑張りすぎない母で良かった。
年を越すまではなんとなく、1年を振り返ったりするけれど、年を越したとたんに忘れてしまうのはなぜだろう。区切りがあることは気持ちを新たにするきっかけになるのだな。
置いてきた思いと、持ち越した思いを整理する。まだ、整理がつかないので目標が決められない。
私の未来はどこへ続くのか。
組み立てる楽しさはもう少し先伸ばしにしようと思う。
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今年の初読了は『同士少女よ、敵を撃て』だった。前評判は聞いていたけれど、戦争が絡むものはあまり得意ではなかったのでなかなか手が伸びずにいた。年末、高崎にあるREVELBOOKSへ行ったとき、入った正面にこの本が置いてあり、目が合ってしまった。
「これは買えと言ってるな!」
手に取り、会計をしてもらう。
「この本、面白かったですよ」
REVELBOOKS店主が発した一言で、すぐに読もうと決めた。いやぁ、間違いなかった。とんでもない本だった。直木賞も持っていくんじゃないかなって思うほどの構成、筆致で、なによりワクワク感が止まらなかった。500ページ弱の本をほぼ一気に読んだのは久しぶりだった。男性が書かれた作品でここまで女性の心情を丁寧に表現してくれるのかと泣きそうになった。女性は弱い存在ではない。
それは力をひけらかすのではなく、内から放たれる強さであることをこの本を読んで感じてもらいたい。