バンビのあくび

適度にテキトーに生きたいと思っている平民のブログです。

同じところに佇んでいる

新人さんの取った電話が、横から聞いているだけでまだ処理できそうにない内容だと判断したので、電話を代わった。

「こんにちは」

話したことのある相手に向かって挨拶をしたら、明らかにホッとしたトーンでしゃべり始めた。「ホッ」って言葉が電話越しに聞こえてきたような気がして笑ってしまった。と、同時に私が相手に安心感を与えられたことが嬉しかった。

 

このブログをはじめて10年が経過した。

最初はどのように文章を書けば良いか迷走した。しばらくして、同じ頃にブログを始めた方たちと仲良くなった。皆が日々のことをブログに記していたので、遠く離れた地に住んでいる人がお隣さんに住んでいるかのように錯覚した。日常は友もいない地での育児に慣れず、寂しくて辛かったけれど、ネットの世界は柔らかかった。毎日ブログを書くことが日常になり、お互いにコメントを残して楽しくやっていたけれど、家族には「おまえのブログの更新頻度が異常だ」と言われた。実家に電話し、楽しくてついつい長話になると「何をそんなに話すことがあるのか」と言われた。

寂しくて潰れてしまいそうだったと説明する気も起きなかった。

多くのことは自分の我慢が足りないのだと思っていた。昔、恩師に「おまえは頑張るのが良いところだ」って言われたのを思い出し、頑張ろうと思った。

けれど、私だけが我慢をすれば成り立つ世界ではないことに気がついた。

声を上げるタイミングを探し、自身を見失わないことだけを考えた。

私がどんな人間であろうと、この世に立ち、存在していることを誰も否定してはいけない。

私もどれだけ考え方が異なっていても、誰も否定しないと心に決めた。

だから、苦手な人は存在するが嫌いな人は存在しない。

 

ブログを続けていて良かったと思っている。

ふらりとコメント残していってくれたあの人を忘れないし、一箱古本に来てくれた読者の方、私宛にポストカードや切手を贈ってくれる読者の方にも感謝している。

何もしていなかったら出会えていなかった方々の日常に、1歩でも踏み入れられたことが嬉しい。平穏な生活と心を手に入れた今からは、お会いできる人にはお会いしたい。

まずは今月、お会いしたかったあの人に会う予定です。

 


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三角みづ紀『きみの日々のサウンドトラック』を購入した。限定30冊。私はblackbird booksさんの通販で購入したのだが、blackbird booksさんへの入荷は3冊だったらしい。三角みづ紀さんの詩と小林大賀さんのイラストが静けさの中に彩りを連れてきてくれる。手元に置いておきたい本。とても素敵だ。

どの詩も美しいのだけど、今日は『ブルー』を紹介して、終わりにする。

 

『ブルー』

 

雨が降ったら 傘をひらいた

交差点を遠慮がちにあるいた

 

きみの頭上で、

雨粒が奏ではじめて、

 

明るい夜も、暗い昼も

こない朝もあるけれど

 

あるきつづけていたら

懐かしい場所にたどりつく

 

はじまりもおしまいも

同じところに佇んでいて

 

きみの足も奏ではじめる

あらゆる音に耳をすませて

 

きみはひたすらに

地球を歩いている

 

 

 


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