数年ぶりに東京へ行った。
夏に帰省したとき、東京へ行くつもりで予定を立てていたのだが、貧血の症状が酷くなってしまい断念した。あのときは駅の階段をのぼっただけで息切れし、すぐに心臓の鼓動が早くなったので、とてもじゃないけれど自らの足で移動できる状態ではなかった。
あれから貧血は薬のおかげもあり、だいぶ改善したので今回は満を持しての「東京」であった。
久しぶりの東京は相変わらず人が多かった。立ち止まったとき、視界に人が存在しなくなる田舎と違い、どこを見ても私の瞳には人が映った。
ふと、音が消こえなくなった。この交差点を歩いている多くの人、電車で隣り合った人たちそれぞれに、私が知らない生活が存在し、私が知るよしもない思いを抱えているのかと考えてしまったのだ。物体が動くとともに、気が動いているのを感じ、少々息苦しくなり空を見上げた。空が狭く、遠かった。空もまた息苦しそうだった。
電車の中から動いていく街並みを眺めた。
生活とはなんだろう。
平穏とはなんだろう。
今、ここにいる私はある一部においては、自身で未来を掴んだと言えるが、大部分は運でしかないと思えた。
何処で生まれても同じように日々模索しながらも、自分で切り開ける未来を、希望を、持てる生活が送れるように祈らずにはいられなかった。
あけましておめでとうございます。
「おめでとう」「よいお年を」
思うことは溢れるほどあるけれど、周りの人の幸せから願いたい。
そして私ができることからやっていきたい。
例え、目に見えないくらいささやかなことであったとしても。