子どもの頃、兄とその仲間たちの中に「みそっかす」扱いで入れてもらい、かぶと虫を取りに行ったり、空き家を探険したりした。林の中で置いていかれそうになって不安になることもあったし、サッカーのルールがわからぬまま試合が始まって、変な動きをしてしまい、兄にめちゃくちゃ怒られて、イヤな気分になったこともあった。サッカーはそのあと、ひとりずつメンバーを取っていくチーム分けをしたのだが、兄のチームに選ばれず、その友達のOちゃんが私をチームに拾ってくれた。そういう時の恩はきちんと返すタイプだったので、ルールを覚えてチームに貢献した記憶がある。(体育は得意だった)
あの頃の夏は楽しかったけれど、とても長かったように思う。毎日、ミンミンゼミに起こされてラジオ体操へ競うように早く行き、スタンプをもらう。そのあと、ごはんを食べて夏休みに特別にやっていたアニメを観たり、ごろごろ転がったり。お昼ごはんを食べたら友達の家に遊びに行ったり、汗を流しながら自転車に乗って市民プールへ行くこともあった。平凡なようでかけがえのない日々。
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映画『サバカン』を観た。
どんな映画かあまり調べずに、ただ都合の良い時間に上映されていたから観たような感じだったのだが、これがとても良かったのだ。
子どもが主役の映画はなんて瑞々しいのだろう。ガチャガチャでお目当てのキン消しが出ないだけでにやにやしてしまうし、「ともだち」ってなんだろう?と一瞬考えてしまう展開も良かった。
尾野真千子と竹原ピストルの夫婦がとんでもなく素敵で、私はこういう夫婦になりたかったのかもしれないと眩しく感じた。
とても素敵な映画だったので、良かったら観て下さい。
8月19日公開『サバカンSABAKAN』60秒予告 - YouTube
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映画の中で不良に絡まれるシーンがあるのだが、それを観ていて思い出したエピソードがあるのでここに記しておく。
兄の話なのだが、兄がコレを読んでいる可能性があるため、兄よ、ここに書いたことを許しておくれよ……と書いておく。(兄夫婦、主に義姉が私のブログを読んでくれているので)
兄が友達と3人(兄、Oちゃん、Mちゃん)で市民プールへ遊びに行った日。暗くなってもなかなか帰って来ず、父がスーパーカブに乗って探しに行った。それでも兄達は見つからず、どうしようかと話していたところで、兄が帰ってきたのだった。
遅くなった理由。
兄達は近道をして帰ろうと、普段はあまり通らない道を選んだ。そこで不良と呼ばれるような人にカツアゲされそうになったのだ。3人はそれぞれお小遣いを持って市民プールへ行ったのだが、手元に残されたお金を出せ!と言われたらしかった。いちばんのターゲットになったのはMちゃんだった。Mちゃんは小銭を缶ケースに入れていたため、動くとカチャカチャ音が出てしまいお金を持っていることがすぐにバレてしまったのだ。
「Mちゃんが狙われて、僕らはそうでもなかったんだけど…。でも暗くなってきて相手も諦めて解放してくれたから、泣きそうなMちゃんを送って帰ってきたよ」
兄の話を聞き、何事もなくて良かったと皆でホッとした。
「Mちゃん、大変だったね。で、Oちゃんとあなたは平気だったの?」
母が兄に問いかけた。
「僕はお金をハンカチに包んでいたから、ジャンプしろ!と言われてジャンプしてもお金の音がしなかったんだよ。でね、Oちゃんは市民プールで全部使いきったからお金がなかったんだ。これはOちゃんが正解だったね」
なにそれ、三びきのこぶたみたいな話!と、私はツッコまずにはいられなかった。
三者三様。
性格が違うから楽しいね。
今となってはそれもまた楽しい思い出なのかもしれない。