体調が良くない。鼻の奥がつんとして頭が重い。体が不調を訴えてきたためか、心も一緒に何処かへいっているようだ。年末の慌ただしさはただでさえ、心と自身の距離ができやすい。距離が遠ければ遠いほど回復が遅くなる気がするので、できるだけ心と自身をを同じ場所に立たせるように意識する。今感じている、この手の揺れとざわめきが静まるように。今日は早く夢の世界へ誘われましょう。
ここ数年、出かけた先で珈琲店を見つけたら珈琲豆を買うことにしている。もちろん、味が好みであるかは重要なので、喫茶店であれば飲んでから購入している。
帰宅後、豆を木製の手動ミルに入れる。ハンドルを回し、ごりごりとした感触を楽しむ。ハンドルを回しているあいだはできるだけ何も考えないようにする。ドリッパーにフィルタを入れて挽かれた珈琲を入れる。そこにゆっくりお湯を注いでいくと、粉が水分を含み膨らんでくる。その様子を眺めているあいだに、珈琲の香りが部屋に広がり、出掛けた先のことを思い出すのだ。
豆は近場でも買えるし、なくなれば買いに行くのだけれど、動作と香りが連れてくる記憶は珈琲の味とは別の特別な時間を連れてくる。
毎日繰り返される日常に変化をもたらすことは、そんなに難しいことではないのかもしれない。